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マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白 (2016):映画短評

マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白 (2016)

2017年6月10日公開 72分

マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白
(C) Zorba Production, Su:m

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

中山 治美

脱北=幸せの固定観念を覆す

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

脱北者というと奇異の目で見がちだが、一人の女性の生き方を考えさせられる作品だ。
北朝鮮から中国の農家に売られてしまったマダム・ベー。
彼女は北朝鮮に残してきた家族との両方を養う為に、危ない仕事にも手を染めてきた。
だが次第に中国の夫の方に情を抱くようになる。
彼女はまた戻ってくると約束し、先に脱北した家族のいる韓国へ向かう。
しかしカメラは残酷にも、一度離れてしまった家族の絆を取り戻すのは難しい事を克明に映し出す。
皮肉な展開続きに、彼女の人生に幸あれと願わずにはいられないだろう。
その全てをカメラの前に晒したマダム・ベーの覚悟と、脱北の旅まで同行した監督の長期密着取材の執念に敬服する。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

極限状態に生まれ育った女性から“生き延びる力”を学びました

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

主人公のマダム・ベーに最初から最後まで圧倒される。パワフルで生命力にあふれていて、絶対に心が折れないタイプ。騙されて(?)農民と結婚させられても嫁業をきちんと果たす上に同じような境遇の女性を中国に密入国させる脱北ブローカーとしても活躍。祖国に残した夫と息子まで呼び寄せるし、中国人の夫と正式に結婚するためにと一路、タイ経由で韓国に! どんなことをしても生き延びてやるという気迫が伝わるが、これは北朝鮮に生まれたせい? 極限状態が人間を強くするのね。マダムが韓国人のドキュメンタリー作家に人生を記録させたのは生きた証を残すためと思われるが、危険な旅にも同行した監督の度胸も相当なものだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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