MR.LONG/ミスター・ロン (2017):映画短評
MR.LONG/ミスター・ロン (2017)あえて、チャン・チェンにナイフを持たせる美学
確かに、PerfumeTシャツも難なく着こなす、チャン・チェンありきの企画ではある。とはいえ、思わず守ってあげたい母子の存在など、ジョニー・トー×ラウ・チンワンによる『再見アーロン』と同じく、舞台をアジアに移した西部劇オマージュ映画として観ると、なかなか興味深い。おせっかいすぎる近隣住民たちとのハートウォーミングな展開も、“殺しのアーティスト”と化すクライマックスの活劇への美味しいスパイスとなっており、心地よいリズムに感じさせるほどだ。低予算ゆえの粗さも見え隠れするが、近年キツかったSABU監督作の中では、出色の出来。ただ、これでは“九十九さん”こと、青柳翔のファンはモノ足りないのでは?
この短評にはネタバレを含んでいます