ゴーギャン タヒチ、楽園への旅 (2017):映画短評
ゴーギャン タヒチ、楽園への旅 (2017)天才画家の孤独を体現するヴァンサン・カッセルが大熱演
画家ゴーギャンのタヒチ紀行『ノア・ノア』を基にした伝記映画。画家として生計が成り立たず貧困にあえぐゴーギャンが、妻子を捨てて南海の楽園タヒチへと移り住むものの、そこは彼が勝手に思い描いたような理想郷ではなかった。言うなれば、天才ゆえにどこの社会にも馴染むことのできない、そんな芸術家の深い孤独を浮き彫りにした作品だ。
見どころは何と言ってもゴーギャン役ヴァンサン・カッセルの大熱演。周囲に理解されない社会不適合者ゆえの失望や狂気を、余すことなく全身で体現する。タヒチ時代のミューズ、テフラとの複雑な結婚生活の描写も興味深いが、メリハリに乏しい平坦な演出のせいで全体的に長く感じることも否めない。
この短評にはネタバレを含んでいます