惡の華 (2019):映画短評
惡の華 (2019)加速した変態は、ゆっくりと日常に融(と)けていく
今や過去の遺産となったブルマへの偏愛など、「変態」行動が炸裂し、加速していく前半戦は、危うい空気がメロウに漂い続けて、いい感じ。伊藤健太郎の悶々さ、 Mへと堕ちるジタバタした悲哀。玉城ティナの表情を抑えた小悪魔ドS演技も、キャラクターをリアルな日常に息づかせる。やがてその変態感は、空っぽな人生に悩む、もどかしい青春映画へとシフト。なので、観た後の印象を言葉にするのが難しい作品という気がする。
コミックやアニメなら「悪態」「強烈」と感じる単語も、実写で生身の人間が放つと違和感を生み、ややギャグっぽくなるのを実感した。原作への忠実性をどこまで守るか。その苦心は見てとれる。
この短評にはネタバレを含んでいます