おいしい家族 (2019):映画短評
おいしい家族 (2019)家族に重要なのは血縁だけじゃないとしみじみ実感
父親が母親になったというコピーのせいで性同一性障害の話かなと思ったら、想定をポンと超える絶品の家族ドラマが広がっていった。母親としての佇まいも板についた板尾創路はじめ、役者陣はみな快演。小道具や衣装の使い方も巧み! 驚愕の状況に身を置くヒロインの心模様の変化が観客のそれと重なる構成に説得力もある。ときにコミカルで、ときに心にグサリと突き刺さる痛みをともなう人々の営みは上手に転がしながら、人生で大切なものをしっかりと伝えてくれた。家族を作るのは血縁だけじゃないとしみじみ実感。個人的な感想になるが、監督の家族観に深く共感できた。ふくだももこ監督の名前は一生忘れないだろう。
この短評にはネタバレを含んでいます