僕に、会いたかった (2019):映画短評
僕に、会いたかった (2019)古き良き日本の原風景を感じる素朴な人情ドラマ
思いがけない秀作だった『たたら侍』に続く、西織良成監督×LHDのプロジェクト第2弾。島根県の隠岐諸島を舞台に、事故で記憶を失った地元の青年漁師とその隣人、そして島留学でやって来た高校生たちの暖かな交流が描かれる。どんでん返し的な感動の結末が用意された筋立てはちょっとあざとくも感じるが、お互いを思いやり労わり合う住民たちの素朴な人情ドラマは嫌味がなく、それぞれに問題を抱えた島留学生たちの心の成長も爽やかな味わい。失われつつある古き良き日本の原風景が感じられる。アーティストとしてのイメージをかなぐり捨て、不器用で武骨な田舎の漁師になりきったTAKAHIROも好演だ。
この短評にはネタバレを含んでいます