パラダイス・ネクスト (2019):映画短評
パラダイス・ネクスト (2019)ハードボイルドの中に懐かしさと瑞々しさを漂わせる
まるで’90年代の香港ノワール映画を彷彿とさせる作品。ただし、舞台は台湾。ある事件が原因で逃亡生活を送る日本人ヤクザ・豊川悦司の前に、いわくありげな正体不明の若者・妻夫木聡が現れ、やがて現地の女性ニッキー・シエを交えた奇妙な逃避行&共同生活が始まる。しかし、そのささやかな仮初めの平和も長くは続かず、結局は過去の罪から逃れることなど叶わない…というお話。まるで時代に取り残されてしまったような、台湾の田舎ののどかな田園風景と、主人公たちの孤独と悲哀がうまい具合に溶け合い、ハードボイルドでありながらも懐かしさと瑞々しさを漂わせた、独特のスタイリッシュな世界を作り上げている。
この短評にはネタバレを含んでいます