パリに見出されたピアニスト (2018):映画短評
パリに見出されたピアニスト (2018)天才ならなんでもアリかよ。
いきなり他の作品を引き合いに出すのは悪いが、『蜜蜂と遠雷』がかなりリアルなコンクール映画だとすると、映画的な嘘がたっぷり施された夢のような物語といっていい。駅中ピアノ・プレイに魅かれて街の悪ガキをスカウト、というのはまあアリにせよ、正式な生徒でもない者をコンセルヴァトワールの代表として世界的コンクールに出場させるなんてあり得ないし、音楽用語も知らず譜面読みも不確かなのにいきなり超絶曲ラフマニノフ2番、なんてのも笑止。「この指で未来を拓く」というのが原題だが、そんなに甘くないよ、というのが正直なところ。しかしL.ウィルソンやK.S.トマスの余裕の演技もあり、嘘は嘘なりにすんなり観れはする。
この短評にはネタバレを含んでいます