春画と日本人 (2018):映画短評
春画と日本人 (2018)ここにも不自由展
わいせつか?芸術か? 映画界でも他人事ではないが、時代を経て基準が変化してきたのも事実。だが北斎が手掛けていても春画のハードルは高いようだ。本作は大英博物展で好評を得るも、著名な公私立博物館での里帰りは叶わなかった春画展開催の顛末を検証する。背景にあるのは自主規制。そこは想像通りの展開なのだが、本作を魅力的にしているのが日本開催を実現させた先生方。まぐわいの構図の素晴らしさ、擬態語の豊かさなど春画に込められた技術の粋を当たり前だが大真面目に語る。中でも陰毛。現役の彫師でも繊細さを再現するのは難しいという。これは「日曜美術館」ならぬ「大人の美術館」。美術史的にも価値あるドキュメンタリーである。
この短評にはネタバレを含んでいます