脳天パラダイス (2020):映画短評
脳天パラダイス (2020)忖度なしの清々しさ
”泣ける”とか”感動した”が良い映画の基準と見なされる中、観客に忖度なしの、山本政志監督らしい破天荒ムービー。どこに連れて行かれるのか全く先の読めない展開と、コンプライアンスもお構いなしのやりたい放題の世界に身を委ねて鑑賞すると、「こんなふざけた映画を作っても生きていけるんだな」とベテラン監督の逞しさに不思議と生きる力が湧いてくるに違いない。とはいえ、舞台となる大邸宅を発見した制作陣の手腕、何気に本格的なミュージカルシーン、さらに80年代から多様な人々をキャスティングし、大手の作品にはない独自の視点で日本社会を切り取ってきた山本監督の妙味が随所に光るのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます