8番目の男 (2018):映画短評
8番目の男 (2018)痛烈な社会風刺を込めた韓流法廷コメディの秀作
‘08年に韓国で導入された国民参与裁判制度(日本で言う裁判員制度)。これは、その最初に行われた実際の裁判を大胆に脚色した法廷コメディだ。司法府の名誉のためにも滞りなく無事に終わらせたい裁判所、法律のことなどまるで分からず戸惑う陪審員たち。そこへきて、有罪を自白していた被告人が突然無罪を主張し始め、さらに真面目一直線のKYな若者が警察の捜査に疑問を呈したことから、法廷は大混乱に陥ってしまう。『12人の怒れる男』を下敷きにしつつ、人が人の運命を決めてしまう責任の重さ、「疑わしきは被告人の利益に」という裁判の基本精神を問う。韓国社会の階級格差や事なかれ主義を揶揄したブラックなユーモアも痛烈だ。
この短評にはネタバレを含んでいます