バニシング (2018):映画短評
バニシング (2018)灯台で何が起きたのか? 新たなセオリーは深かった
1900年にフラナン諸島の灯台守3人が忽然と姿を消した事件を新解釈した人間ドラマだ。嵐による大波にさらわれた、諍いで殺しあった末に海に落ちたなどの推論とは異なり、人間の強欲と罪悪感、そして狂気説が悲劇を生んでいく。“汝殺すなかれ”を規範の一つとする宗教観もにじみ、かなり深みのあるサイコスリラーとなっている。J・ヒューストン監督の『黄金』を思わせる部分もある。ベテラン灯台守役のピーター・ミュランの顔に刻まれたシワが海の男の孤独を表現するいい仕事をしている。デンマーク人俳優ソーレン・マリングのクセのある顔立ちも強烈な印象を残す。
この短評にはネタバレを含んでいます