2人のローマ教皇 (2019):映画短評
2人のローマ教皇 (2019)「象徴」としての存在。その素顔が観る者を幸福感で包む
完全な実話ではないが、現在のローマ教皇フランシシコと、前任のベネディクト16世をモデルに、一般には不可侵な空間での友情関係が描かれ、全編に興味津々のネタが溢れる。
2大演技派の「余裕」に、観ているこちらも安心感はパーフェクト。とくにピアノを奏で、タンゴも踊るホプキンス、長いキャリアを経た後の究極の「軽み」という境地に達している。
2人の主人公の対話シーンが時折、長く感じられるものの、ABBAやビートルズの曲を使った、バチカンの荘厳さとのコントラストを意識したポップなノリや、教皇や枢機卿、衛兵のカラフルな衣装を強調した映像、そして何より優しさに満ちたラストが観る者をも幸福感で包んでしまう逸品。
この短評にはネタバレを含んでいます