椿の庭 (2020):映画短評
椿の庭 (2020)圧倒的な画力で魅せる“日本の美”
高台に建つ古い日本家屋に、四季折々の花が咲く庭。そして、三世代の女性たち……。あわよくば、是枝裕和監督あたりが撮ってそうな既視感ある三要素だが、広告写真界の巨匠として知られる上田義彦の初監督作だけに、いわば“日本の美”というべきカットが連続。その圧倒的な画力ゆえ、「なぜ、富司純子の孫娘がシム・ウンギョンなのか?」「なぜ、チャン・チェンが税理士なのか?」なんてことは愚問に思えてくるほどだ。主人公と亡き夫の思い出の曲として登場するブラザース・フォーの「Try to Remember」が染みるなど、静かに時間が流れていくため、128分の尺はそこまで感じないが、もうひと捻りほしかった感はアリ。
この短評にはネタバレを含んでいます