フェイフェイと月の冒険 (2020):映画短評
フェイフェイと月の冒険 (2020)色と光と動き。アニメーションの魔法に陶酔する
3つの世界が異なるタッチで描かれる。主人公が生活する世界はリアルに、月の伝説の世界は水墨画のタッチで、主人公が訪れた月世界は蛍光色のポップな抽象画のように、三者三様に描かれるのだ。それらが、色彩、質感の違いだけでなく、"光の存在の仕方"でも描き分けられているところに魅了される。とくに月世界の、ほとんど色と光と動きだけで構成された世界のクリアさ、清浄さ。
加えて、クリーチャーたちの"動き"の豊かさ、愛らしさ。月世界の存在たち、月餅がモチーフの円に細くて小さな手足が付いただけのほとんど色だけの存在や、身体の形が定まらない存在も、動きだけでたっぷり感情を表現する。その"動き"の魔法に魅せられる。
この短評にはネタバレを含んでいます