愛のまなざしを (2020):映画短評
愛のまなざしを (2020)仲村トオルが、静かに狂っていく
亡き妻の想いを胸に壊れゆく仲村トオル演じる精神科医に、そんな彼を翻弄していく杉野希妃演じる謎の美女。ブッ飛んだサイコなヒロインが巻き起こすサスペンス・タッチの盲目な愛の物語という意味では、間違いなく『UNloved』『接吻』の延長線上にある万田邦敏監督の新作といえる。主人公の男女を隔てていた『接吻』のアクリル板にも繋がるソファーの使い方など、明らかに意図的な演出もあるうえ、独特すぎる不穏な空気感に閉塞感、ユーモアに関しても、万田監督作らしさは健在。とはいえ、国内外で評価の高い前記の2作に比べてしまうと、どうしても脚本の弱さが悔やまれる。
この短評にはネタバレを含んでいます