これからの人生 (2020):映画短評
これからの人生 (2020)これぞ大女優ソフィア・ローレンの真骨頂!
御年86歳となるイタリアの大女優ソフィア・ローレンにとって、およそ16年ぶりの主演映画。移民や売春婦など社会の底辺の人々が暮らすイタリアのスラム街を舞台に、自身もかつて売春婦だったホロコースト・サバイバーの老女が、不幸な生い立ちで心の荒んでしまったセネガル人の少年を引き取り育てる。心に深い傷を負った者同士が、過酷な現代社会の片隅で肩を寄せ合う姿をシビアに見つめた物語は、さながら21世紀のネオレアリスモ。老いてもなお誇り高くて逞しく、厳しくも大らかで暖かなマダム・ローザを演じるソフィアは、まるで『昨日・今日・明日』のアドリーナや『あゝ結婚』のフィルメーナのその後を見るようで実に感慨深い。
この短評にはネタバレを含んでいます