フィア・オブ・ミッシング・アウト (2019):映画短評
フィア・オブ・ミッシング・アウト (2019)深層心理の豊かな描写に才気を感じる36分
自殺した親友の遺したボイスレコーダーを発見したヒロイン。そこに録音されていたのは、最愛の夫を自殺で失った親友の最後の言葉だった。在りし日の親友に思いを馳せながら、ある場所へと向かって深夜に車を走らせるヒロインと、亡き夫の面影を追い求めて孤独に苛まれ、町が寝静まった深夜に死を決意した親友の姿が交互に描かれていく。たった36分間の短編映画だが、しかしその中で愛する人を失うことの哀しみと、自分だけが取り残されてしまうことの不安を、繊細かつ情感豊かに浮かび上がらせていく。人間の複雑な深層心理を映像だけで的確に表現した、ハッとするようなシーンに監督の才気を感じる。
この短評にはネタバレを含んでいます