ずっと独身でいるつもり？ (2021)：映画短評

　「結婚」の文字が頭をよぎり始めた30代の人気フリーライターを中心に、それぞれ異なる環境のもとで生きづらさを抱えた４人の女性の物語が綴られていく。そこから浮かび上がるのは、「あなたは女性だから」「もういい年齢なのだから」「母親なのだから」「妻なのだから」「女の子なのだから」と、日常のあらゆる場面で杓子定規な「こうあるべき」という無言の圧力を押し付けられる女性たちの痛みと苦しみ、戸惑いと怒り。ジェンダーロールの固定概念が根強い日本社会で、女性が自分らしく自由に生きることの難しさがとてもリアルに描かれている。さながら『82年生まれ、キム・ヨジン』の日本版。こう言ってはなんだが、予想を裏切る秀作だ。