プリテンダーズ (2021):映画短評
プリテンダーズ (2021)本気で世界を変えたいなら何をすべきか
同調圧力が強くて息苦しいばかりか、どんどん保守化して内向きになっていく日本社会に強い不満を抱えた女子高生が、世の中を変えるためと称して親友を巻き込んだ「やらせ動画」をウェブ上で発信するのだが、やがて問題提起と承認欲求の区別がつかなくなっていく。少女が社会に対して抱く憤りはもっともだが、しかしネットで得た情報だけで世界を知った気になった彼女の言葉は誰かの受け売りでしかなく、過激な世直しも自分の正義に酔っているだけに過ぎない。そんなヒロインの未熟さに寄り添いながらも、本気で世界を変えたいなら何をすべきかを見る者に問う。蛇足や疑問も少なくない作品だが、今の時代に向き合った姿勢は評価したい。
この短評にはネタバレを含んでいます