チェルノブイリ1986 (2020):映画短評
チェルノブイリ1986 (2020)未曽有の原発事故を市民の視点から描いたスペクタクル大作
チェルノブイリの原発事故を描いた作品といえば、HBOドラマ『チェルノブイリ』がすぐに思い浮かぶが、あちらが主に運営管理者たちの視点から、事故を招いてしまった全体主義国家における社会システムの様々な欠陥を鋭く糾弾したのに対し、本作では最悪の事態を防ごうと奔走する現場作業員や事故で生活を奪われた地元住民たちにフォーカスし、未曽有の困難に直面した人々の勇気をドラマチックに描く。人生の重要な決断から逃げてばかりいた消防士の主人公が、被災した息子のために心を入れ替えるというプロットを含め、極めてベタな災害メロドラマだが、スペクタクルなパニック・シーンの迫力やソ連時代の再現度の高さは評価できる。
この短評にはネタバレを含んでいます