ぜんぶ、ボクのせい (2022):映画短評
ぜんぶ、ボクのせい (2022)問題を抱える子供たちの向こうに、いつも海が見える
赤ん坊の頃に母親に児童養護施設に預けられた13歳の男子中学生。壊れたトラックで暮らす30代くらいのホームレスの男性。家に居場所がない女子高校生。世代も環境も違うが、それぞれ別の形で親との関係に問題を抱えている3人が、お互いと一緒にいるときだけ、ゆっくり呼吸をすることが出来る。お互いの問題に立ち入ることなく、近くにいるというだけで、安らぎのようなものを感じる。彼らが一緒にいる場面が、そういう空気に満ちている。そして、安易なハッピーエンドはやってこない。そんな物語の背景に、いつも海が見えるのがいい。彼らの背後で、海が常に穏やかに緩やかに動き続けて、昼の青さも、夕方の橙色も、それぞれに美しい。
この短評にはネタバレを含んでいます