劇場版モノノ怪 唐傘 (2024):映画短評
劇場版モノノ怪 唐傘 (2024)ただ紋様と色彩に酔いしれるのみ
ただ紋様と色彩に、陶然と酔いしれるのみ。デザインや色彩は、日本の伝統紋様や襖絵、浮世絵が原点なのだが、そのままではない、かなり変格の和風。しかも、細かな紋様が画面の隅までびっしり描き込まれている。画面の全体的なタッチが2007年放送のTV版「モノノ怪」と共通なのは、監督が同じ中村健治だからだろう。大画面なので紋様の描き込みの密度が高くなり、永田狐子のキャラクターデザインにより、中心人物である薬売りの目元と口元がさらに色気を増した。
大画面ならではの大きな動きも、新たな魅力。視点が立体的に動いて世界がぐるぐる回り、色彩と紋様の奔流が押し寄せて、その圧力が全身を押しつけてくるのを体感。
この短評にはネタバレを含んでいます