とべない風船 (2022):映画短評
とべない風船 (2022)『テロルンとルンルン』監督らしい優しさ光る
「平成30年7月豪雨」で妻子を失った漁師と夢だった教師の仕事に挫折して故郷に戻ったヒロインという、心に傷を負った2人の出会い。いかにも『テロルンとルンルン』の宮川博至監督らしい優しい一作で、基本、悪い人間が登場しないことや、後半の“事件”など、『凪の島』同様“離島映画”のセオリーも踏襲。ヒロインの父親役の小林薫や居酒屋の女将役の浅田美代子が脇を固めるなか、劇中のセリフとしても登場する『幸せの黄色いハンカチ』へのリスペクトも感じる。とはいえ、いろいろモノ足りないのは事実で、東出昌大と三浦透子に至っても、それぞれ『天上の花』『そばかす』の直後だけにインパクトに欠ける。
この短評にはネタバレを含んでいます