暴力をめぐる対話 (2020):映画短評
暴力をめぐる対話 (2020)市民と権力の衝突から見えてくる民主主義社会の課題
困窮した一般市民が社会的不平等の是正を訴えるフランスの抗議活動「黄色いベスト運動」を巡り、デモ隊と警官隊の間で繰り広げられてきた激しい暴力の応酬。その生々しい記録映像の数々を検証しつつ、各専門家のみならずデモ参加者や警察関係者も参加し、様々な側面から「暴力」について論議するドキュメンタリー。無抵抗のデモ参加者はおろか取材記者や通行人にまで暴力を振るう警官隊の映像はショッキングだが、その一方で興奮のあまり破壊行為に及ぶ一部のデモ隊にも眉をひそめざるを得ない。だが、果たして権力による暴力と一般市民の暴力を同列に語れるだろうか?現代の民主主義社会が直面する様々な課題を突き付けられる作品だ。
この短評にはネタバレを含んでいます