炎上シンデレラ:映画短評
炎上シンデレラツカミどころのないヒロインが魅力的
かなり過激にも見えるタイトルだが、じつは尾崎将也監督の分身といえる『新幹線大爆破』と『八甲田山』を愛する映画オタクによる、恐ろしいくらい純粋なラブストーリー。長回しによる“劇団あるある”“モデルあるある”などのリアルを散りばめながら、飯島寛騎演じる主人公・田代と田中芽衣演じるヒロイン・みつほの徐々に縮まる距離感が、かなり丁寧に描かれていく。あまりに予測不能な展開に驚かされるなか、“不幸を呼ぶ女”としても描かれる、みつほキャラクターがあまりにもツカミどころなく、それが逆に魅力的に見えてしまう。そして、いつの間に田代目線になってしまうという、不思議な一作でもある。
この短評にはネタバレを含んでいます