THE FOOLS 愚か者たちの歌 (2022):映画短評
THE FOOLS 愚か者たちの歌 (2022)わけなんかないさ/いつだってそうさ
例えば『ニューヨーク・ドール』など、ロックバンドのドキュメンタリーは「老い」「病」「死」等の容赦ない現実と共に数奇な人間模様を伝えてきたが、本作はその極点かもしれない。監督の高橋慎一は2012年から10年越しの撮影で壮絶なリアルドラマを映像に刻みつけた。
甲本ヒロトいわく「本物…いや、“本当”な感じがした」。伊藤耕や川田良の破格のカリスマ性が注目されるが、実話ナックルズ的な武勇伝に対し、中島一徳やマーチンこと高安正文ら音楽探究者の声も印象的。伊藤いわく「船で喩えたら、一度でも乗った奴はFOOLSのメンバーなんだよ」。彼らは海賊船のように進み続け、乗員がすっかり変わっても大海に浮かんでいる。
この短評にはネタバレを含んでいます