妖怪の孫 (2023):映画短評
妖怪の孫 (2023)“妖怪”に、今なお日本は金縛り!?
“妖怪”とは“昭和の妖怪”の異名をとった岸信介元総理、その“孫”とはもちろん、こちらも元首相の安倍晋三。『パンケーキを毒見する』の内山監督が描くのは、世を去ってなお社会を覆う彼らの影だ。
メディアや省庁を骨抜きにして内閣に権力を集中させる巧妙な手口。匿名前提で出演した官僚の言葉はあまりに重い。『パンケーキ~』に比べてユーモアが薄れたのは、日本の救いのない現状の表われか。ラストの監督の独白には大いに考えさせられた。
高市早苗大臣の行政文書問題をはじめ、今まさに起きていることにも直結する内容。政治に煽られ、庶民の心にまで巣食ってしまった“妖怪”。これは正直、怖い。
この短評にはネタバレを含んでいます