同じ下着を着るふたりの女 (2021):映画短評
同じ下着を着るふたりの女 (2021)鋭利なタイトルに相応しい傑作
凄い映画だ。斎藤環の『母は娘の人生を支配する』や田房永子の『母はしんどい』等からも影響を受けたと語る監督は、これが韓国映画アカデミー卒業制作となる新鋭キム・セイン(92年生)。「若さ」から抜け切らないシングルマザーのスギョンは自分の自由の為に周りの人間を抑圧する。それをモロに喰らうのが娘。ディープに、コアに入り込んだ描き方で、母役ヤン・マルボクの存在が生々しい。
娘イジョンは母のDVを訴えて裁判まで起こすが、ふたりの女は同じ団地の部屋に帰っていく。「家を出ない」ことに込められた共依存の複雑さ。30歳目前ながら雰囲気が思春期の娘。負の連鎖。全てがずっしり来る。娘の同僚の女性ソヒも印象深かった。
この短評にはネタバレを含んでいます