ウィ、シェフ！ (2022)：映画短評

　料理人としては優秀だが著しく協調性に欠けるため、高級レストランをクビになった女性が、移民少年たちが暮らす自立支援施設のシェフとして働くことになる。実在するフランス人シェフをモデルにした作品。料理の世界で成功して自分の店を持ちたい。そんな強い野心を空回りさせていたヒロインが、「食」を通して貧しい境遇の子供たちと心を通わせ、手に職を持たない彼らに自らの技術と知識を伝授する。これぞまさしく利他の心、思いやりの精神ですな。せっかく夢や希望を抱いてフランスへ来たのに、チャンスすら与えられない移民少年らを助けるため、主人公が意表を突く作戦で一肌脱ぐ展開も心憎い。実に気持ちの良い爽やかな映画だ。