青春墓場 (2021):映画短評
青春墓場 (2021)これはもう、勝新太郎だよ!
友川カズキの「一人盆踊り」が鳴り響く中、『クズとブスとゲス』でも流血しまくった監督本人が夜道を走ってくる。カツシン型の異才にしてガチの呪われた映画作家、奥田庸介。彼が初期三部作と同じタイトルを冠したネクストレベルの傑作だ。生々しい現場感と卓越した設計力で、タランティーノからの影響を完全独自の域に昇華した。
監督いわく当初念頭にあったのはキアロスタミの『桜桃の味』だが、「俺の中のスタローン」がその首を絞めて本作になったらしい(笑)。前半部は『青春の殺人者』を彷彿させつつ、因果関係の悲劇ではなく、無関係な場から我々を襲う人間交差点の残酷な不条理を描いた凄さ。『月世界旅行』の引用も絶妙!
この短評にはネタバレを含んでいます