私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター (2022):映画短評
私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター (2022)ラストのスーパーマーケットには泣ける。
人間に巣くうネガティヴな感情をさらけ出しながらも深刻になりすぎることなく、おかしみと慈しみをもって描ききるのがデプレシャンの美点である。家族の相克についても何度か描いてきた彼だが、今回も姉と弟の近づくことさえ拒否反応の働くどうにも説明の付かない憎しみを追い詰めていく。そんな感情が何故この二人に巣食うことになったのか監督は説明しようとしない。ヒントは所々あったりするが、決して限定しないのだ。時に生の感情を剥き出しにして魅せるマリオンは勿論、メルヴィルが今回とても素晴らしい。父母の葬儀の場でさえ会いたがらない姉弟の間に敢然と割って入り意思を示す、彼の妻G.ファラハニの確固とした眼差しがまた美しい。
この短評にはネタバレを含んでいます