メドゥーサ デラックス (2022):映画短評
メドゥーサ デラックス (2022)ヘアスタイルが変わり、うわさ話が変わる
ヘアスタイルは、完成形は持続できず、変化していくことが宿命づけられている。それを物語の中心に据え、その周囲で美容師たちが動きながら話し続ける、とりとめのないおしゃべりやうわさ話が、ヘアスタイルと同じように、どんどん変形していく。それを、手持ちカメラが、途切れることなく、静止することなく、全編ワンショットのイメージで映し出していく。その持続する軽い眩暈のような感覚に浸るのが、本編の醍醐味。
撮影はロビー・ライアン。ケン・ローチ監督と『ジミー、野を駆ける伝説』からずっと組み、ヨルゴス・ランティモス監督と『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』と続けて組む名手が、そんな世界を映し出す。
この短評にはネタバレを含んでいます