悪い子バビー (1993):映画短評
悪い子バビー (1993)時代が丸ごと吹き飛ぶ、闇に輝く金字塔
ほとんど墓から甦ったような衝撃。かつて禍々しいジャケと共に発売されていたVHSの邦題は『アブノーマル』。ヴェネチア国際映画祭で審査員特別大賞ほか5部門受賞という栄誉も持つ1993年の伝説の最強(凶)オーストラリア映画が、なぜかいま日本で初劇場公開となる。
主人公はスラムの一室に母親から閉じ込められたまま育った35歳の青年バビー。このイノセントマンが生まれて初めて外界に出る。当時よく比較されたのは『フォレスト・ガンプ/一期一会』だが、まさにその極端な陰画であり、毒親とゴキブリしかいない環境から始まる奇跡の冒険譚。我々はすべてのタブーを乗り越えた先に屹立する人生の真実を目撃するのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます