香港の流れ者たち (2021):映画短評
香港の流れ者たち (2021)目を背けたくほどのホームレスの過酷な日常
香港の“マクド難民”を描いた『ファストフード店の住人たち』にもなれないビニールハウス暮らしのホームレスのヘヴィな日常。『どですかでん』のような群像悲喜劇も展開するなか、仲間もクスリ漬けにすることで、共犯者として生き続ける恐ろしさも淡々と描写。フランシス・ン、ロレッタ・リーら、名優たちの芝居を通して、『星くずの片隅で』すら夢物語にも見えてしまう容赦ないヒリヒリした展開が続く。とはいえ、ここまで潔く徹底的にやってくれることで、深刻な現状を伝えたい作り手の本気を感じさせてくれ、ジュン・リー監督作としては、いろいろ甘々だった前作『トレイシー』とは雲泥の差といえる仕上がりに。
この短評にはネタバレを含んでいます