リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング (2023):映画短評
リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング (2023)本当の真打ちとなるR&Rの革新者・創始者・解放者・設計者!
2020年に87歳で逝去したL・リチャードの偉大な先駆性に焦点を当てた内容で、監督は『プレシャス』(09年)等の製作で知られるリサ・コルテス。クイアの観点からR&Rの歴史を読み直しつつ、彼の場合は信仰の問題も重なり、人生とキャリアは分裂的に極端な振幅を描くことになる。
異端者ゆえに色物扱いされ、「文化の盗用」問題も絡む長年の不当な評価に苦悩していた事にも胸を打たれるが、パフォーマンスはやはり圧巻。この問答無用の高揚感が当時堅牢だった人種の壁を軽々越えたわけだ。主題歌を務めた『女はそれを我慢できない』(56年)の公開時、ボルチモアのティーンだったジョン・ウォーターズ監督の愛ある言葉も素敵。
この短評にはネタバレを含んでいます