箱男 (2024):映画短評
箱男 (2024)箱の中から見えるのは、他人か? 私か?
正直この小説の映画化は無謀ではないか?と思っていたが、石井監督であれば、もしや……という気持ちもあった。そういう意味ではスリリングであったし、シュールな物語に魅了された。
原作の昭和を令和に持ち込み、ノスタルジックだが確かな“今”の物語を演出。他人に見られず他人を見るSNSカルチャーの風刺としても有効だろう。
注目すべきは、作者の安部公房が主人公の“書く”という行為の意味を追求したのと同様に、石井監督は“撮る”ことを考察していること。同時に“見る”“見られる”も問われ、観客も当事者となる。この構図は面白い。
この短評にはネタバレを含んでいます