ザ・タワー (2022):映画短評
ザ・タワー (2022)“この世の地獄”見せつけます
『ピンク・クラウド』のように“新たな脅威”に襲われ、『コンクリート・ユートピア』のように次第に極限状態に追い込まれていく人間の姿をリアルに描写。世界で現在起こっている食糧問題や人種・性差別問題を、バンリューの集合住宅一棟に集約しているのだが、屋外が登場しないこともあり前記の2作のようなディストピアSF要素は皆無。『この世の果て、数多の終焉』のギョーム・ニクルー監督らしい、エロもグロもしっかり描いた“この世の地獄”を徹底して見せつける。そんなホラーともいえる性悪な演出もあり、胸クソ映画としてはよくできており、オチはさておき、89分で解放してくれるのも有難い。
この短評にはネタバレを含んでいます