Kfc (2016):映画短評
Kfc (2016)ゴア描写だけじゃない。じつはアートな発禁ホラー
副題「食人連鎖」が示すカニバリズムや『オーディション』の影響を受けた拷問シーンなど、ゴア描写が売りの本国ベトナムでは発禁扱いのホラー。とはいえ、大学の卒業制作から始まった企画だけに、実験的なアート作品としてのテイストが濃厚。時間軸が入り乱れる群像劇という、なかなか複雑な構成に加え、『走れロム』のような少年時代の日常、『メイド・イン・ホンコン』のような青春時代の復讐劇が展開されるなか、粗削りながらハッとさせられるカットも少なくない。よって、単なるキワモノ映画の枠にとらわれず、トラン・アン・ユン監督が激推しした理由も納得。ホラー以外も楽しみな監督といえるかもしれない。
この短評にはネタバレを含んでいます