顔さんの仕事 (2024):映画短評
顔さんの仕事 (2024)手描き映画看板はパブリックアートである
シネコンが浸透する一方で、希少な存在となっている”映画館”という単体の建物と、劇場を飾る大きな手描き看板。特に映画看板は、役目を終えれば消える運命にある広告に過ぎないのに、街の風景と共に鮮明に脳裏に刻まれる。何故か? 答えは本作にあった。「スパイダーマン」の看板があっという間に「スラムダンク」に塗り替えられ、フリーハンドでタイトルが加えられる驚愕の技術と手描きの妙。似てる、似てないも含めて、心を動かされずにはいられない。顔さんは今も台南の映画館で看板を描いている。しかも路上で。本作は、失われつつある映画文化と、台南の古き良き時代を伝える貴重な記録である。
この短評にはネタバレを含んでいます