ふつうの子ども (2025):映画短評
ふつうの子ども (2025)
味わったことのない映画体験。それに尽きる傑作
これほどまで子どもたちの素直な感情、行動を映像に収めた日本の劇映画があっただろうか。そんな事実に感動して冒頭からラストまで打ち震えた。目の前のことを楽しむ率直さは、まるで子どもたちが自分で監督したかのよう。カメラも基本、子ども目線の高さが多用される。
脚本はかなり考え尽くされ、練られ、修正されたのは呉美保監督らしいが、その脚本どおり子役たちが演じ、あそこまで自然な表現というのは奇跡的。子役演技(全員)も史上最高峰では? 一部セリフが聴きづらい部分も、リアルな日常感を醸し出すうえで意図的なのだろう。
シリアスになりそうな見せ場での笑いの挿入など“大人の映画”としての優秀さも軽々とクリアしている。
この短評にはネタバレを含んでいます