12歳のトップモデルが性的対象に…業界の闇に共感したミス・アメリカにインタビュー
アメリカのファッション業界で活躍する、モデルたちの光と影を描いたドキュメンタリー映画『アメリカ・ザ・ビューティフル』(原題)のダリル・ロバーツ監督と本作に感銘を受けたというミス・アメリカのキルステン・ハグランドに話を聞いた。
異常なまでに美を追求するアメリカのファンション業界。きらびやかな世界の裏には、拒食症、整形手術、ノイローゼなどさまざまな病に苦しんでいるモデルたちの姿がある。本作は12歳でモデルになったとある少女の姿を通して、ファッション雑誌、整形外科、インターネットの出会い系サイトなど、さまざまなモデル業界の光と影を描いた作品だ。
‐トップ・モデルとはいえ、12歳の女の子を映画で扱うことに抵抗はありませんでしたか?
(ダリル・ロバーツ監督)最初は何もためらわずに撮影に入ったんだが、実際にはいろいろなことが起きてしまい、本編に入れることのできない映像もかなりあったよ。ドキュメンタリーの監督としての自分と、彼女を助けてあげたいという思いの両方で葛藤(かっとう)はあったが、12歳の女の子が性的対象や利益の対象になってしまうという現実問題を描こうという気持ちは変わらなかった。
‐どういった経緯でこの映画を紹介することになったのですか?
(キルステン・ハグランド)ミス・アメリカの啓蒙活動の一貫として、摂食障害の人たちを手助けするコミュニティーに参加したときに、『アメリカ・ザ・ビューティフル』(原題)の予告編を観たの。わたし自身も拒食症に悩まされた時期があって、この映画のメッセージ性に感銘を受けてしまったの。
‐メディアや雑誌、テレビなどでのモデルたちの扱い方を問題視する人々もいますが、わたしたち消費者にもその責任はあるのではないのでしょうか?
(ダリル・ロバーツ監督)もちろん責任の一端はあるだろうね。しかしわたしたちは、今日のテクノロジーとインターネットの発達、それを見込んで繰り返される広告などの宣伝攻撃に無意識の内に脳が影響されているんだ。だからこれからは自分自身がしっかりと意識して、何をしなければいけないかを考慮する必要があるだろうね。
本作から学べること。それはこれまで持ってきたわたしたちの肉体に対する美意識を変革し、本物の美とは何かを考えていかなければならないということだ。(取材:文・細木信宏)