『スウィングガールズ』の矢口監督がヒコーキ映画で少年のように目を輝かせる
映画『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』など、極上のエンターテインメント作品を作り続けている矢口史靖監督に、新作映画『ハッピーフライト』について語ってもらった。飛行機に乗るのがニガテだった矢口監督を「今は飛行機がいとおしい」と飛行機大好きに変えてしまった、そんなハッピー・ヒコーキ・ムービーとは?
「飛行機映画を観るのが大好きで、いつか飛行機の映画を作ってみたかったんです。子どものころの夢がかなったって感じです」と少年のように目を輝かせた矢口監督。2年間にわたるリサーチでは新しい発見だらけだったそうだ。例えば、パイロットが同じメニューの食事を取らないということやバードパトロールというびっくりするような職業の人がいて、ショットガンを持っているとか、天気だけを常に監視している人とか、世界中を飛んでいる自社飛行機をモニターしているというのも秘密基地みたいで、とにかく驚いてばかりだったとか。「そんな驚きの一つ一つを映画にしていった次第です(笑)」とうれしそうに語った。
矢口監督の小さいころのあこがれの職業を聞いてみると、「仕事をするなんて思っていなかったですね」ととんでもない答えが返ってきた。「落とし穴を掘ったり、バカばっかりやっていました。今やっている映画作りって、落とし穴の延長で、生き方は多分昔とちっとも変わってないですね」とさらり。「見ず知らずの人が落とし穴に落ちたのを、落ちちゃったよ、アハハーって、陰で見ているのが好きだったんです」。といたずらっ子のように瞳をくるくると動かせるその姿は、今も少年そのもの。
新米CA役の綾瀬はるかが、かつらのお客さんを発見してズレを直すという場面で、「天然なんでしょうね。本物のCAさんに、『皆さん、片手でやっていますか? 両手ですか?』って本気で聞いていました(笑)。田辺(誠一)さんは、見た目はかっこいいのに面白いことをやりたがりです。振り返ったらイヤホンが鼻に入っていたことがありましたね。僕? 僕は、至ってまじめですよ」とそ知らぬ顔もなぜかチャーミングに見えるから、不思議な監督だ。
飛行機はただ乗っているだけじゃ何もわからない。今回も矢口監督のその独創的な題材とユーモアのセンスが光るすてきな作品に仕上がった。「1,800円以内で乗れる飛行機が、お近くの劇場でお客さんのご搭乗をお待ちしております」と矢口監督。矢口監督は公開中の映画館に足を何度も運び、自分の映画を観るお客さんの反応を見ているそうなので、一番後ろに一人で立っている人がいたら要チェックだ。
映画『ハッピーフライト』は11月15日より全国東宝系にて全国公開