フィリップ・シーモア・ホフマンが『バットマン』のペンギン役を完全否定!
2005年に映画『カポーティ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したフィリップ・シーモア・ホフマンが、新作映画『シネクドキ、ニューヨーク』(原題)について語ってくれた。本作は、妻や娘恋人までにも去られたニューヨーク州スケネクタディに住む劇作家ケイデン・コタード(フィリップ)が、自分の人生を再生させるために、とある巨大な倉庫の中に実物大のスケネクタディの町を作り上げ、自分の人生をアートとしてフィクション化させるというストーリー。本作は映画『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』など奇想天外な作品を生み出す脚本家チャーリー・カフマンの監督デビュー作である。
フィリップは、1990年代に多くの舞台に出演。映画を中心に活躍している今でも、俳優業のかたわら舞台監督として活躍している。「この映画は、ある男が仕事を通して人生を語り、さらに素晴らしいことを追求しようとしているんだ。今まで役者として影響された人物はいるが、それはあくまで芸術家が持つ特性みたいなものだけに限られていて、人生で起きていることに刺激を受けているのさ」と本作のキャタクターを通して、フィリップ自身の人生観を聞かせてくれた。
初監督作品となったチャーリー監督の仕事ぶりについては「本当にすごい男さ。今まで監督として活躍してきたんじゃないかとさえ思った」と絶賛。役作りについては「撮影期間は2か月半と短い期間だったけど、僕はこのプロジェクトに1年間も費やしたんだ、白紙の状態から地図を描くようにね。撮影期間中は、週に2、3回、すべてを把握するために、その週に撮影するシーンをまとめてリハーサルをしたしね」
過去にダニー・デヴィートが演じた映画『バッドマン』シリーズの悪役ペンギンのオファーのうわさについては「あくまでうわさなんだよ。どこかの雑誌で読んだんだが、クリストファー・ノーラン自身も『ペンギンを悪役にして撮りたいかさえわからない』と言ってた。僕にはいまだオファーは来ていないが、実際あったとしてもペンギン役としては参加したくないなぁ。あれより、もっとほかに面白いキャラクターがあるだろ?」とうわさを完全否定した。
本作では、中年の男から老いた姿まで見事に熱演しているフィリップ。そして、年末には恐らくオスカー戦線にかかわってくると思われる話題作映画『ダウト』(原題)(黒人学生を虐待した神父を描いている映画で、彼はその神父を演じている)が控えている。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)