ジェイソン・ステイサム独占インタビュー!「人が死ぬのをわざわざ観るのはビョーキだね!」
脱獄不可能の刑務所で繰り広げられる、“死のレース”へ出場を決意する男の試練を描くアクション・ムービー『デス・レース』。インディペンデント映画で有名な、ロジャー・コーマンが手掛けた1975年の『デス・レース2000年』を『バイオハザード』シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督が現代的なアレンジでリメイクした。本作で主演を務めたジェイソン・ステイサムに話を聞いた。
Q:この映画はオリジナル版とはぜんぜん違いますね。
オリジナルは観てないんだよ
Q:観てない人は何人かいらっしゃるみたいで……イアン・マクシェーンもですが、ジョーン・アレンも観てないようですね。
あ、そうなの? 観てないの、おれだけかと思ったよ。というか、観るなと言われたんだ。本当は観たほうがいいんじゃないかと思ったんだけどね。だって、ポールに初めて会うんだしさ。リメイクを撮るって言われてたけど、実際はリメイクという感じじゃなくて、ヒントだけもらった感じだね。だから、ほんとは映画を観たほうがいいんじゃないかと思って、会ったとき言ったんだ。「あのさ、ポール、その映画観てないんだよ」って。そしたら、「ああ、よかった。ロジャー(・コーマン)がやったのを参考にしてほしくないんだ。僕たちなりの映画を撮りたいからね」って言われてね。
Q:この映画では、こういうエンターテインメント中心の社会が近い将来来るという可能性をほのめかしてるんですか?
よくそういう質問を受ける。そんなにおれたち、病んでるかな? そんな極端な世の中になると思う?(笑)生きてる限り、そうならないと願いたいね。
Q:われわれがそういう方向に進んでるのは間違いないと思います。(ちょっとジェイソンが言葉をはさんで)これは究極の疑問ですが、人が死ぬところをわざわざ観に行く人がいますかね?
わざわざ観に行くやつは、バカかビョーキだね。頭おかしいよ。ただ、わざわざ観に行く必要はないんだ。つまり、テレビをつけなければいいし、観たくなければ、コンピューターを閉じて、本でも読めばいいんだ。やめるのは簡単だよ。ただ、ローマ時代以来、こういう過激なスポーツがずっとすたれないよね。決してなくならないと思うんだ。あくまでも娯楽という名のもとにね。
Q:あなたのキャラクターはハメられたことになってますが、自分の中に悪魔が住んでて、ああいう結末を迎える運命を感じさせる部分がありますよね。
そうなんだ。彼は前科(まえ)があって、出所したんだけど、正常な部分もあって、ちゃんと奥さんも子どももいる。ところが、ある日突然、監獄に入れられる。そう、かわいそうなジェンセン・エイムズ君だ。
Q:今までにいろんなアクション映画に出てますよね。ダイナミックなこの映画のカー・レースのシーンはどうでした?
これに出てくる車は、僕が普段乗ってる車なんかとはぜんぜん違う。かなりごついし、ちょっと扱いがむずかしくて、鎧かぶとで完全武装してるから、見通しは最悪だよ。普通だったら、快適で、運転も正確じゃないといけないんだろうけど、いつもまわりが見えてるわけじゃないからね。どのくらい慎重な運転が必要かは、普通、分かるよね。ところが、この車の場合は、横は何にもないんだけど、後ろがまったく見えないんだ。それに、運転もかなりむずかしい。最初のうちはえらいビビりまくるね。まわりが見えないと不安になるもんだ。だから、慣れるのがちょっとむずかしい。ボンネットの中に600馬力のエンジン積んでるからね。ふと、怖くなる。まあ、乗りこなせるようになるには、相当の勇気がいるね」
Q:ムスタングは、究極のパワフル・スポーツカーじゃないですか?
極めつけだね。この国で生まれた中でも、最高にイメージの強烈な車だからね。その通りだね.
Q:車好きなんですか?
ああ、相当、好きなほうだね。スティーヴ・マックイーンの映画『ブリット』で初めてムスタングを観て以来だよ。マックイーンの大ファンになったのは、あの映画のおかげだし、あの映画でムスタングの大ファンになった。
パワー車が好きでね。イギリスのクラシック・カーにも目がないんだ。ジャガーとかアストン・マーチンとかね。クラシック・カーから最新型に至るまで、どんな車でも目移りしてね。
映画『デス・レース』は11月29日より有楽座ほかにて全国公開