スパイク・リー監督が、トニー賞候補のミュージカルをライブ撮影!
同名ブロードウェイミュージカルをカメラに収めた映画『Passing Strange』(原題)について、黒人監督スパイク・リー、原作者兼歌手、さらにナレーションを担当したマーク・スチュアート、そして歌手のハイディ・ロードウォルドに話を聞いた。
本作は、若い黒人男性(ダニエル・ブレイカー)が、自らの価値観を捨て、アイデンティティーを求めて海外を旅するストーリー。トニー賞にもノミネートされたミュージカル作品。
本作をHDカメラで撮影したことについて「実際、フィルムで撮影するのには、予算が足りなかったんだ。それに、演劇中での撮影だから、肝心なところでフィルムがなくなって、それをイチイチ変えているわけにはいかないからね。ライブでの撮影は、土曜日の昼と夜の公演、それから日曜日の昼の公演でやったよ。その場の臨場感を大切にしたんだ」とスパイク監督。ちなみに10回以上公演を見て、撮影に入ったそうだ。
舞台で演じている自分を映像で観た感想を「自分では結構動き回っているつもりだったけど、映像を観ると、ほとんど動いていないの(笑)」と語るハイディだが「ただ肝心なのは、スパイク監督の目線で撮影されたこの映画は、本当に素晴らしいものだということ」と完成した作品は気に入っている様子だ。
これまでずっと映画を撮り続けてきたスパイク監督。舞台劇の脚本を執筆しようと思ったことはないのだろうか?「妻に何度も執筆するように言われているよ。彼女は映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』をミュージカルにすべきだってね。ただ、今回のこの映画も舞台監督は僕じゃなくて、アニー・ドーセンなんだ。彼が俳優たちをうまくまとめてくれたおかげで撮影ができたんだよ。撮影中、俳優への指示は3回くらいで、ほとんどなかったね。そういうことだから、今のところミュージカルをやる予定はないね」と語ってくれた。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)