逝去した『キル・ビル』のデヴィッド・キャラダインさん、最期の映画の一つ-レインダンス映画祭
10月10日(現地時間)、ロンドンで開催中のレインダンス映画祭で、ベルリン映画祭のクリスタル・ベア賞などを受賞しているデヴィッド・リー・ミラー監督映画『マイ・スーサイド』(原題)のイギリス・プレミアが開催された。本作はこの6月にバンコクのホテルで亡くなったデヴィッド・キャラダインが最期にかかわっていた作品のうちの1つ。上映後には、主演のほか、脚本、プロデュース、編集にも加わったガブリエル・サンデーが登場、質問に答えた。
本作は、学校のフィルム作成の課題で、カメラの前で自殺するというプランを発表する学生アーチーと、それを止めようとする大人たちの攻防から始まる。アーチーが撮って編集したフィルムという感じの、ところどころにアニメが混じりこむ、遊びのある映像がコミカルに続く。軽めのダーク・コメディのようなムードで進むうちに、思いがけない方向にストーリーが展開し、シリアスなタッチが加わってくる。アーチーがあこがれる人物として、本人役で登場するキャラダインの存在感が光る。
自殺をテーマにした本作だが、込められたメッセージはポジティブだ。明るく登場したサンデー、「今、イギリスはちょうどメンタル・ヘルス・ウィークだが、それは知っていたか?」という質問に「いや、知らなかった。どう? 元気?」と冗談っぽく答えるも、質問者がメンタル・ヘルスにかかわる活動をしていると話し出すと一転して真剣な表情に。「この映画は、若い世代の自殺防止になると思うんだ」と、自分で自分の映像を編集していくことで、プライベートで問題を抱えていたのが癒されたことを明かしながら、訴えた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)