ジブリが仕掛人!複製だらけのルーヴル美術館に本物も混ざる遊び心!小さなルーヴル美術館開催!
映画美術監督の種田陽平が監修と会場構成を手掛けた「『小さなルーヴル美術館』展in軽井沢」が17日から長野・御代田町のメルシャン軽井沢美術館で開催された。
同展は2008年に三鷹の森ジブリ美術館で企画展示されたものを再構成したもの。フランスの画家ジャン=オノレ・フラゴナールの「コレシュスとカリロエ」などルーヴル所蔵の名画を実物の5分の2に縮小。会場のところどころにあるのぞき窓から中を見ると、フランス以外の名画や、ルーヴルから見た16世紀のパリを再現した風景など、至るところに仕掛けがある。遊び心あるジブリらしく、世界最大の美術館を子どもの視点で、見て、触って、楽しんじゃおう! というユニークな試みが話題となり好評を博した。
軽井沢版は、この世界で希な複製だらけの展覧会に、18世紀に活躍した仏画家ユベール・ロベールの「納屋」(1760年)と、同フィリベール・ルイ・ドゥビュクールの「フロマント通りに面したルーヴルのファサードの情景」のホンモノ2点がルーヴルの協力により展示され、同美術館開館15周年記念に花を添えている。
また、展示会場が三鷹の森ジブリ美術館から10倍以上も広くなり、5つの展示室を設置。迷路に迷い込んだように部屋を進んでいくと、もともとは12世紀に城塞として建てられ、宮殿としても利用されていたこともあるルーヴル美術館そのものの歴史がわかるようにストーリー性が持たされており、よりグレードアップしている。
16日に行われた開会式に出席した三鷹の森ジブリ美術館の中島清文館長は「ジブリのときは、おもちゃ箱にぎゅっと展示物が入っていたような感じだったけど、今回はそのおもちゃ箱から(名画たちが)成長して出て来たようで、また違う味わいがあります」と感激ひとしおといった面持ち。種田も「床や壁面、額縁といったディティールにも凝り、井戸などの見せ場を作るなど映画美術で培った技術を生かしています。前回が「子どもの視点」がコンセプトなら、今回は大人が子どもの視点に戻れるような展覧会になれば」と企画に込めた思いを語った。
種田は引き続き、今年7月に東京都現代美術館(東京・江東区)で行われるジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』(7月17日公開)の展覧会「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平」を手掛ける。種田は「『借りぐらしのアリエッティ』の世界をそのまんま体感できるような企画を考えているので、楽しみにしていて下さい」とメッセージを送った。
「『小さなルーヴル展』in軽井沢」は10月24日まで開催される。(取材・文:中山治美)