衝撃の実話!日常的に暴行され、学校でもいじめられ、汚れたマットレスの部屋で現実逃避『ザ・キッド』-エジンバラ国際映画祭
現地時間6月23日、第64回エジンバラ国際映画祭でニック・モラン監督映画『ザ・キッド』(原題)のワールドプレミアが開催された。主人公のモデルとなったケヴィン・ルイスとモラン監督が上映後に質疑応答した。
本作は世界的なベストセラーとなったルイスの同名の自伝が基になっている。両親から日常的に暴行され、学校でもいじめられ、ケアシステムからもこぼれ落ち、汚れたマットレス以外は何もない部屋で、空想物語を壁に描くことが唯一現実から逃れるすべだったルイスが、サバイバルしていく様子が描かれる。ルイスを『ヴィクトリア女王 世紀の愛』のルパート・フレンド、父親をコン・オニール、母親をナターシャ・マケルホーンが演じるほか、ヨアン・グリフィズ、トム・バークなどが出演している。
モラン監督は『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』の主演も務めた俳優でもある。監督デビュー作『テルスター』(原題)を、本作のエグゼクティブプロデューサーでもあるルイスが見て、監督を依頼したことから実現した映画という。モラン監督の「映画化が、皆が問題に目を向けるきっかけになればと思う」というコメントを受け、観客からも「この映画を作ってくれたことに、感謝したい」という声も聞かれた。表に出ることもないまま、取り返しのつかないことになってしまう事件が後をたたない世相を反映した質疑応答となった。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)