福島が舞台の映画、撮影は予定どおり福島で決行 放射線量が少ない地域を選びあえて撮影の理由
2008年より立案され、制作が進められていた福島県が舞台の映画『トテチータ・チキチータ』が、12月の公開に向け、予定通り8月上旬より撮影を開始することを発表した。企画プロデューサーの古勝たつ子は、地元の有志たちからの「映画をぜひ完成させて福島を、東北を活気付けてほしい」という要望から、「地震被害、津波被害、原発被害、風評被害など福島県にとって悪いことばかりが流布される中、私たちが福島県のために出来ることは何であろう?」と再考した結果、予定通りの制作を決めたことを、映画のオフィシャルサイトに「皆さまへのメッセージ」という形で伝えている。
本作は、前世で死に別れた家族が現世で立場も年齢も違う人物に生まれ変わり、とあることをきっかけに存命している妹とめぐりあうという心温まるファンタジー映画で、当初から「苦境に立たされた時、強くなるにはどうすればいいのか?」「現代社会において忘れてはいけない大切な事とは何なのか?」がテーマだった。古勝は、本作の撮影について、「福島県内でも放射線量が少なく、人体に影響がないところは多々ある。そういった場所をロケーションに選び、できる限り福島県内で撮影をしたい」と語っており、2月の時点で大まかな形が見え始めていたというキャスティングについても、高校2年生の男の子役を、改めて“福島県出身”を条件に、選定することを明かした。
古勝は、本作が「偏見、風評被害の払拭」「地元経済の活性化」につながればと考えている。避難所へ本作品のDVDを無償で提供し、元気と癒しを与えたいとし、収益の一部の寄付など、具体的な復興支援も行っていくという。「福島県伊達市は県北地方、宮城県境の近くに位置し、私の生まれ育った故郷でもあります。春は桃の花が咲き乱れ、温泉と山と美しい田園風景、そして少し恥ずかしがり屋の優しい人々が暮らす福島県という素朴で、ステキな場所をこの『トテチータ・チキチータ』という映画を通して、たくさんの皆さまに観ていただきたいと思うのです」と語る古勝。福島への思い、美しい福島の魅力がいっぱいに詰まった『トテチータ・チキチータ』を、応援したい。(編集部・島村幸恵)